新型コロナワクチンをめぐっては、その安全性とリスクについて十分な検証と議論が必要であるにもかかわらず、検証や議論そのものを封殺しようという動きが世界的に非常に強まった。
それは、7回目のワクチン接種が始まる最近もほぼ同様である。議論を封殺することは、人間行動の根底にある全体主義的傾向の顕在化に他ならず、人類社会にとっては、コロナウイルスやワクチンよりも危険である。
この風潮を克服するためには、われわれの内面にある倫理を問い直す必要がある。本講演では、歴史に残る哲学者の主張を再構成して、この問題をもっとも深いところから再検討し、われわれはどのように行動すべきかを考える。

講師：國部 克彦（こくぶ かつひこ）
神戸大学大学院経営学研究科教授。大阪市立大学院経営学研究科博士課程修了。博士(経営学)。大阪市立大学助教授等を経て、2001年から現職。神戸大学副学長、神戸大学経営学研究科長等を歴任。専門は、社会環境会計、経営倫理。主著（共著、編著を含む）に、『責任という倫理』（ミネルヴァ書房、2023年）『ワクチンの境界』（アメージング出版、2022年）『総月型責任経営』（日本経済新聞出版社、2019年）『アカウンタビリティから経営倫理へ』（有斐閣、2017年）などがある。