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医療塾 第17回「がんのホリスティック医療 ~ありたい姿を考える」

2018/01/05
医療塾

医療従事者のための「ホリスティック医療塾」
2017年12月17日(日)於:大阪
◎レポート:愛場 庸雅(日本ホリスティック医学協会理事)

第17回「がんのホリスティック医療 ~ありたい姿を考える」

がんの医療には実にさまざまな視点があります。がんは個性豊かな病気であり、また早期発見から末期で死に至るまでの多彩な状況があり、一概に公式に当てはめるような考え方のできない病気です。そこで今回は、参加者の皆さんから、実際に困った事例を出していただき、その問題点と解決策を話し合いました。

1例目は、50代の末期がんで、緩和ケア病棟においてオピオイドやステロイドを使わざるを得ない状況の方。話題となったポイントは、1)マクロビオティックや東洋医学などの自然志向と、痛みなどの症状に対しては効果のある現代医療との葛藤。2)周囲の人からのアドバイスと本人の意向の食い違い。3)本人の生きる原動力である家族・パートナーとの関係性。4)本人の生き方と死の受容。などでした。緩和医療の現場では、ホリスティックアプローチは比較的行いやすい状況ではありますが、本来であれば緩和ケア病棟に来る前にかかわりたいものです。

2例目は、50代進行食道がんで、放射線化学療法後の方。補助療法として温熱療法施行中に、セラピストとしてかかわり、ゆっくり話を聞くことのできる立場からの問題提起でした。

1)患者本人の世話だけでなく、障害のある児をかかえた家族の疲労、うつという家庭の問題。2)患者の性格と病棟看護師の相性の悪さ。3)これらの結果としての本人の孤独。4)治療方針決定段階での、医師、看護スタッフ、患者間での意思決定の不調和、連携の悪さ。5)告知をすることで、希望を奪うことになった。などについて話し合いました。

いずれも解決の方法を簡単に見つけることは困難です。ただ、人間全体まるごとを見る。自然治癒力を活かす。自らの努力と周囲とのつながりを大切にする。病の中に意味と価値を見出す。こういったホリスティックな視点を持つことにより、解決にまでは至らなくとも、さまざまなアプローチの可能性が見えてくるのではないかと思われます。