コラム記事・研究会レポート

医療塾 第14回「魂を癒す!?」

2017/02/07
医療塾

医療従事者のための「ホリスティック医療塾」
2016年6月19日(日)於:アスニー山科
◎レポート:愛場 庸雅(日本ホリスティック医学協会理事)

第14回「魂を癒す!?」

第14回医療塾は、ディベート討論会形式で「魂を癒す」とういテーマで行いました。2013年にも「たましいを考える」というテーマでフリーディスカッションを行ったことがありますが、今回も10名の方と関西支部のスタッフ6名で、多くの職種の方々が参加されました。

最初に10分ほど、3~4人のグループで、「心と魂の違いは?」というテーマで話し合っていただきました。「肯定派」の代表として山田義帰先生に、「否定派」の代表として黒丸尊冶先生に、それぞれの視点から話題提供していただき、ディスカッションを開始しました。あえて異なる立場で議論を進めるディベート討論なので、自分の本当の考えとは違う発言もありです。 出てきた意見とその後のアンケートから、少し整理して並べてみます。

●肯定、否定それぞれの根拠は?

【肯定派】
・心は一人ひとりの人間の体の中にある意識であるが、魂は情報をもったエネルギーが人間の体に入ってきたものである。
・インド人が何千年も前に書いた預言書があり、そこに書かれていることが現在の自分の経験と合致する。これは輪廻転生でないと説明ができない。
・胎内記憶というのもあり、心だけでは説明できない。受精の瞬間の記憶がある子どももいる。人間感覚と違う記憶を持っている子どももいる。
・臨死体験された患者が、知りえない事象について語られる。
・この空間に動画の情報が飛び交っているように、見えないから無いのではなく、見えなくても存在している。

【否定派】
・魂と心を切り離して考えるのではなく、心の延長線上にあるものが魂であり、科学ではまたわかっていない「心の深い領域」にあるものという考え方ででも十分に説明がつくのではないか。
・死後の世界や魂のあるなしは証明のしようがない。スピリチュアルな考えは、「事実」というよりも「思想」である。「感謝」や「見えない何かを考えること」で人生がより豊になれるのであれば、それは「心」の力である。
・臨死体験も脳の化学物質の影響という研究もされている。
・前世や来世、過去や未来を見るというのは、いわゆるコールドリーディングという手法で可能なことが知られているし、またメンタルマジックとして商品化もされている。
・「記憶」はとても曖昧なもので、都合のいいように組み替えられる。

<参加者の自由意見・アンケートの言葉より

●心と魂の違いは?
・心は人間の体の中にある意識、魂は情報をもったエネルギーが人間の体に入ってきたもの。
・魂は心の延長線上にある。
・体から出たら魂、体にあったら心。
・心は変わる。性格や生き方が変わるのは心がどう動くか。魂は自分の人生が導かれるというような本質で変わらないもの。三つ児の魂100まで。
・魂は輪廻転生している。心は現世の体に宿る。心を鍛錬することは大切。
・「内なる気づきと悟り」に対して「天から降りてくるメッセージ」

●魂とは?
・魂というものは、皆捉え方が違う。人それぞれに考える心と魂の定義がある。
・魂は「エネルギー」と考えると理解しやすい。
・理解できないことを「魂」と定義付けしているように思う。各自の定義付けがあるが、理解できないものを「魂」と置き換えて理解するのか、宗教や量子力学などの科学といった文脈の中で論議するのか、整理の必要がある。
・「人生観」「生きがい」の意味合いと、「人智を超えたもの」の意味合いがある。
・「スピリット」というギリシャ時代からの世界の捉え方と、日本的な文化を背負った「魂」という言葉の持つイメージは異なる。
・魂は「思想」ということであれば、「ある」「ない」という論点ではなく、「信じるか」「信じないか」という話になる。メリットがあるか、受け入れられるかどうか。

●直観や第六感について
・家族の生死に関わった時、「感じた」経験がある。
・人間は自分自身に合っている直観、自分にとって都合のいいことしか記憶していない。直観と魂を結びつける必要はない。

●スピリチュアル・ビジネスについて
・アロマショップに「天使と交信」している人がいて、「祓いたいんですね」と言われてしまった。
・言い方次第で詐欺まがいになる。
・色んな人がいるから、出会いの良し悪し。
・実際にはマインドマジックの手法を使用しているのに、それをあたかもスピリチュアルな力であるかのように宣伝し、高額なお金を取るのは問題だと思う。

●「魂が病んでいる」「魂を癒す」という表現があるが、体や心の病は魂の病気なのか?

スピリチュアルヒーリングとは何か? 魂を癒すことはできるのか?
・魂は本質的なもの。魂が病むことはないと思う。
・魂が病むというより、心が病むというほうが理解しやすい。心の在り方のほうが病に影響すると思う。
・癒されるという感覚は体のどこにあるのかと考えると、魂ではなく心で治っていく。
・ヒプノセラピストとしては、前世に帰って気づきを得る、魂を癒すのがスピリチュアルヒーリング。グラウンディングは大切。
・魂を癒す必要があるのか。魂はより高次元ではないか。自ら成長するために自ら望んできているという考え方もある。「難病の子はかわいそう」という視点ではなく、「病気になったり、つらい感情を経験するのは、成長したいがために一番やりたくないテーマを選んでこの世界にきている」そう考えるほうが前向きになれる。
・障害のある人は、魂の成長のために障害を選んできているという考え方もある。ご本人から「カルマかな?」と言われたが、「違う」と言ってあげられると思う。
・浮遊霊が憑依することにより病気になるという考え方をしている人もいる。
・「第三の目を開きたい」という人が多いが、体の土台と胃腸を整えると落ち着く。

●医療への適応

・ホスピスに勤務していると興味深い。それぞれが癒され安心する方法であれば、どの手法でもよい。
・祈りの研究がアメリカで行われている。誰かの祈りによって体調の変化なども報告されている。やはり、スピリチュアルな癒しはあるのでは?
・その研究は追試験が行われ、祈りの効果の有意差は明らかにされていない。
・祈り、手当て、アロマ……手法はなんであれ、関係性の中での「癒し」がある。相互作用ではないか。
・患者と医療者の視点を分けて考え、視点の違いを明確にしたうえで、押し付けではないオーダーメイドの関わりになるのではないか。相手に合わせた関わり、相手が必要な手法を行うことで、思考や認知の歪みに気づくことが必要ではないか。
・医療という視点から見て、魂があるという文脈が益になる、健康になるのであればそれでよい。
・スピリチュアルな考え方を持っているほうが、ずっと幅が広くなるし、生き方も豊かになる。色んな考え方や視点を患者さんに合わせたやり方でやるのがいい。スピリチュアルな話で癒される人もいるし、死後はないという話でもどちらでもいい。だから思想だと思う。色んな視点を持っているとは大切。