◎文・久保田　泉

ホリスティックヘルスCafeは、ホリスティックヘルス塾のインストラクターやホリスティック・ピープル（ヘルス塾を受講されて、ホリ協に入会された方）を対象に開催している交流会です。
2020年１月にスタートし、翌2月も行い、それ以降も１、２カ月に一度の開催をめざし、準備を進めていました。
ところが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、リアルに集うことが困難になりました。4月以降はZoomで行っています。7月末までにZoomのヘルスカフェを11回行い、参加者は50余名に達しました。これは、私の予想をはるかに超えるものでした。

ホリスティックヘルスを語り合う場づくりとして

このホリスティックヘルスカフェは、ヘルス塾インストラクターの親睦の場として設けたリクエストCafeに端を発します。
以前から、私の元には「インストラクターになったけれど、ヘルス塾を開講できない」「伝えたくても、受講料を貰ってまで教える勇気がない」という声が届いていました。
私自身はホリスティックな健康観を１人でも多くの方にお伝えしたいと思い、個人開講は30回以上行いました。ですから、インストラクター活動を躊躇される方々に、私にできる応援があるならば、どんなことでもしたいと思ったのです。

リクエストCafeは、ホリ協事務局の片隅を借り、茶菓子持参で語り合う３、４人の交流会。そこでの話し合いが開講実現に役立ったかと問われたら、全く自信はありません。ただ、初対面同士でも「ホリスティック」がテーマになると、話が途切れないという新鮮な驚きを毎回味わうことはできました。
そしてインストラクターに限定せず、もっと多くの方が集える場を作りたいと考え始めました。そこで、インストラクター仲間の山田智子さんと協力し、ホリスティックヘルスCafeを企画したのです。ホリスティックという言葉に出会ってまだ１週間という初々しい方から、ホリ協歴10数年までが一堂に会しました。

１月は「ホリスティックとアロマテラピー」と題して久保田が、２月は「化学物質過敏症」をテーマに、元患者の立場から山田さんが講演、毎回、後半は全員が発言する交流の時間です。
「今までは、シンポジウムやセミナーに参加しても、終了したらそのまま帰るだけですた。それをこうやってシェアできる場があると、講演の内容が一層深く理解できます」という感想もいただきました。
その確かな手ごたえで、今後も続けようと意欲満々だったところに、コロナ禍がやってきました。思いのほか、自粛モードは長引きます。
リアル開催の見通しは立ちません。しばらく悶々としていましたが、リアルで集まれないなら、Zoomはどうだろうかと、ふと気づきました。
実は私はパソコンが苦手で、Zoomは未経験。それでも行おうと思ったのは、コロナ禍は人と人のつながりを分断していく、この状況だからこそ安心して集える場が必要だと思ったからです。

Zoom開催の初回は、定員６名のところ、事前の宣伝も功を奏し、あっという間に満員になり、同日に２回行うことになりました。ステイホーム中で、参加費も無料、という理由もありそうですが、それにしてもうれしいスタートです。
それから７月末まで、北は北海道から南は沖縄まで、地域を越えて集いました。

コロナ禍が教えてくれたこと

毎回、久保田が進行役になり、まずは一人ひとりの自己紹介、続いて「何でもOK」で語ってもらいます。コロナ禍ならではの近況も語られます。
「医療職なので、相当な緊張感の中で仕事をしている」「勤務先の介護施設では、スタッフの人数が減り、仕事がきつくなった」「親が入院する病院では面会禁止。病状が悪いのに会えない」「コロナで仕事が減り、収入激減」「家族のテレワークに振り回されている」「休校になった子供らがうるさくて」等など……。

口々に大変さを語りながら、話しているうちに「当たり前の日常のありがたさ」に気づくこともあります。さらに、「コロナのおかげ」で得たうれしいことを披露してくれる方もいます。不平不満をあえて口にして、ちょっと気を落ち着かせ、おまけに、「コロナのおかげ」で喜ぶ人から刺激も受け、雰囲気は次第に和やかに。カフェタイムの1時間半はあっという間に過ぎていきます。
リアルに集まれないからと、仕方なく始めたZoomですが、それもなかなかいいものでした。

まずは、全国どこからでも参加できること。交通費ゼロ、主催者側の会場費負担もありません。
次に、一人ひとりの話をよく聴けること。画面には、参加者全員が映っています。自分の話にまわりがどう反応するかが、よくわかります。
自分の話に共感してもらえる安堵感は、少人数Zoomならではのこと。言葉を越えたやり取りも、案外可能なのです。

かつての私は、コロナが収束して、リアルに集まれる日が一日も早く来ることを心待ちにしていました。でも今は、リアルもいいし、Zoomもいい。この両者を併用するホリスティックカフェを続けていこうと思います。
私の夢は、全国でこのようなカフェが広がり、ホリスティック仲間が自由に語り合える場ができることです。コロナ禍が教えてくれた「人と人のつながりの大切さ」を、これからも守っていきたいと思います。

ヘルス塾受講の有無に関わらず、ホリ協会員の方も、ぜひご参加ください。
※ご案内は、ホリ協HPピープルサイトに掲載します。https://holisticpeople.jp

『HOLISTIC News Letter Vol.107』より

久保田　泉　くぼた・いずみ
アロマテラピーインストラクター・薬剤師
当協会常任理事
ホリスティックヘルス塾インストラクター
ホリスティックヘルスCafe世話人