コラム記事・研究会レポート
がんのホリスティックアプローチ
2020/06/10
研究会
◎文・高橋 信雄
講演とディスカッション
中部支部では、がんで困っている患者さんを助けたい思いから、「がんのホリスティックアプローチ会」を2017年から企画しました。西洋医学および西洋医学以外の治療方法などを提示し、寄り添うシステムをつくりたかったからです。
まずは不定期に半日講座を企画しました。考えたのは講演だけでなくディスカッションすること、特に医療従事者との交流の場を創出することでした。そして、一緒にホリスティック的ながんのアプローチを討論したのです。
これまでの講演を振り返り、演者の発言をひと言で書きました。
・老化現象と事故的に起こるがんの対応を峻別する必要がある。(長谷部茂人)
・がん病態総論~がんにも必ず原因がある。(高橋信雄・医師)
・最新のがんの免疫療法~統合医療で内なる治癒力を高めよう。(堀田由浩・医師)
・がんの原因は、東洋医学では氣・血・水の滞りから生じると考える。(佐藤健明・鍼灸師)
・がん難民、寄り添いの限界~がん患者さんには代わってあげられない。(船戸崇史・医師)
・がんは本質からズレた生き方を教えてくれる。(中野真澄・アーユルヴェーディックティーチャー)
・生き方・心の持ちようが大事。(竹内温子・ダマヌールスピリチュアルヒーラー)
<死生観>
・健康な時から死生観を学ぶことが必要。瞑想も役に立つ。(大下大圓・住職)
・西洋医学でも寄り添う早期の緩和ケアをする。すなわち病気だけでなく、生きざまに寄り添うことが大事。(澤田憲朗・医師)
・生きる希望をもつことが大切。(杉浦貴之)
・死を見つめるメメントモリ~死を考えるのではなく、どう生きたいかを考える。(船戸崇史・医師)
・生ききるを邪魔するものは不安と執着。(高橋信雄・医師)
<がんと食>
・がん患者さんの食事は、ケースバイケースで対処するしかない。(高橋信雄・医師)
・分子整合栄養医学の食養生~がん患者さんでも栄養が必要。(林 佳奈/管理栄養士)
・漢方・薬膳。がんになったら何食べる?~その都度かわるがんさん患者の栄養状態に対応するのが大事。(船戸博子・医師)
さらに、2019年11月に開催した中部支部のシンポジウム「ホリスティックにがんをみる~命輝く、全てを包括した医療」の内容を下記にまとめました。
●がんになった時の生き方
心の持ちようが一番大事で、生きる希望を持つこと。死を考えるのではなく、どう生きたいかを考える。環境や死生観などスピリチュアルアリティな世界までをも視野に入れて、人という存在そのものの在り方を見直す時代にきている。
●がん栄養治療
基本的なケトン食などの理論は正しいと考えるが、継続的固定的治療法は難しく、患者さんの状態にあわせケースバイケースで対処する。
●がんの原因および治療
生活習慣、マインドなど必ず患者さん自身のなかに原因があり、そこにアプローチしないと治らない。「がんを悪」と決めつけ「避ける」「退治する」的な西洋医学と同じ視点でなく、がんも所詮自分の細胞なら徹底的にがんの言い分を聞く、原因究明するところからすべてが始まる。
がんは「消す!」のではなく、原因がわかれば「消えるもの」との認識が大事。
●ホリスティック医療とは
1つに限定された各論的な医療ではなく、魂論を含めたすべてを包括した医療で、原因は自分にあると自覚し、既存の治療や人に助けられて自分で治していく医療。信頼しあえる医師や代替療法家とのチームがあればベスト。
活動の成果
今回、がんのホリスティックアプローチ会を開き、講義と同じくらい討論の時間を持った結果、中部支部の方向性に多くの賛同が得られたのと同志が多数いることがわかりました。
我々が地域に貢献できることは、現在最も命を脅かすがんについて、人に寄り添える開かれたシステムを構築していくこと。その途中段階でホリスティック医学を広める最初の窓口として、がんのホリスティックアプローチ会を推進していくという、今までの方針を貫くこととしました。
まとめますと、
① がんの治療で迷い困っている方の、ホリスティックなアプローチを紹介できる窓口をつくる。
② 日本ホリスティック医学協会中部支部を一般人に開かれた組織としてスタートする。
③ 世の中にホリスティック医学をどんどん広めていく。
④ 講義とホリスティックアプローチの症例検討会とする。
今後の展望
日本ホリスティック医学協会中部支部が、地域に貢献することが目標です。
もう1つの支部の目標として「未病予防」を今後の支部のゴールとしたい。
病気としては、有病率の高いがんを取り扱い、がんのホリスティックアプローチ会をつくったが、その前段階としてがんにならないことが最も重要です。人それぞれの魂が元気で幸せな人生になることを目指したい。そこにはスピリチュアル的な魂論も必要であり、この分野こそホリスティックな考えが最も大事と考えています。
◎文・高橋信雄
がんホリスティックアプローチ研究会 世話人代表
『HOLISTIC MAGAZINE 2020』より
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