コラム記事・研究会レポート

『「オプティマムヘルス」のつくり方』山本竜隆 (著)

2022/03/01
図書紹介

日本ホリスティック医学協会理事の最新刊を紹介します。
【新刊紹介】
「オプティマムヘルス」のつくり方 - 健康を実感できない日本人のための究極の処方箋

山本竜隆(著)/ワニブックスPLUS新書(2021年)
990円

「オプティマムヘルス」という言葉は、直訳すると「最高の健康」「至適な健康」となり、20年前からアメリカで提唱されるようになった考え方です。注目すべき点は、この言葉が一般論としての最高の健康状態をさすのではなく、「それぞれの人にとっての」最高かつ最適な健康状態をさすからです。「それぞれの人の」であるため、当然それは各人の生活環境や年齢、文化、価値観によって異なります。
さらに重要なことは「人それぞれ目指すものが違う」ということ。「自分にとっての最高の健康を目指すのと同時に、自分とは違う人が目指すものを認めることで、周囲と調和していくことが求められる」と記されているとおり、オプティマムヘルスは共に生きる中で多様性や多元性を認め合い、各人が自律的に自分にとっての最高かつ最適な健康状態を維持するということなのです。
「生まれ持った体質と望む生き方により、健康のあり方も個人によって変わる、つまり万人に共通する健康法は存在しないのです。」

山本医師は、現代人は自然環境のみならず、暮らしや身体のリズムも、本来あるべき「自然」の状態を損ねていると警鐘を鳴らしてきました。
電磁波の影響や身体から抜けない電気、放電されない衣住環境への警告、高層マンションなど地面と離れて生きる不自然さ、自然の音ではなく合成された電子音や機械的な音に囲まれた生活……、都市生活者ほど自然欠乏症候群による不調を抱えているのは明らかですが、電磁波から受ける影響も、ポリファーマシー(多剤併用)やサプリメントへの依存の状況も、各人の症状は千差万別です。
そんな中、それぞれがそれぞれにとっての健康状態を知り維持するために、山本医師は「統合医療的な身体や健康の捉え方」を推奨しています。私たちが各人のオプティマムヘルスを追究するのと同時に、医療者サイドも患者1人ひとりに適した治療法を提供するオーダーメイド医療の在り方が望ましいと考えているのです。
自分の合った医療を医療者と相談するにも、私たちは自分の状態を知ることが大切です。山本医師も「自分を知ることが健康への第一歩」だと説き、自分を知るための指針を本書で解説しています。改めて自分にとっての「健康」を考えるきっかけとなることでしょう。(文・大岳美帆)