世界のホリスティックセラピー
世界には多種多様な補完代替療法があり、誕生の歴史や経緯はそれぞれ違いますが、補完代替療法も現代医学もその出発点は同じです。
おもな補完代替療法を時代的背景や地域特性から整理すると下記の分類図で表せます。
BODY
ボディ
体。身体。物質としての存在。物質的事象を知覚する感覚器官を備えた肉体。心と魂の器。
MIND
マインド
心。感情や精神の領域。情念、理性、知性などの精神的機能を有する。顕在意識と潜在意識の一部。
SPIRIT
スピリット
魂。心と身体に宿り、身体の活動や心の働きをつかさどる非物質的なもの。語源であるラテン語のスピリトゥス(spiritus)は「息」「呼吸」を意味し、転じて「生命の原理」と理解される。ひとつの存在の本質的なもの、その存在を生かすもの、自ずと発散されるものを表す。
ボディ、マインド、スピリットに働きかける
おもな補完代替療法
小伝統医療
● 古代シャーマニズム
太古から行われている呪術や巫術による治療行為。中国医学やインド医学などの体系化された「大伝統医学」に対して「小伝統医学」と呼ばれる。欧米では、心身相関療法の一種としてシャーマニズムが再評価され、トランスパーソナル心理学の中から「ネオ・シャーマニズム」が生まれている。
大伝統医療
● 中国医学
古代中国の自然哲学である陰陽五行説に基づいて診断・治療を行う。薬物療法(薬膳と湯液-とうえき-=漢方)、物理療法(鍼灸)、手技療法(膏摩)、運動・エネルギー療法(気功)の4つの大きな体系がある。
● チベット医学
三代体液のルン、チーパ、ベーケンのバランスによって体質を診る。仏教の三毒、貪・瞋・癡(とん・じん・ち)、すなわち欲望、憎しみ、無知が病気の原因となる心の状態を引き起こすと考える。食生活、生活習慣、外的治療、薬方を四大治療法とする。薬方では、伝統的に薬草、鉱物、動物性の3種の生薬が用いられるが、現在は9割以上が薬草類である。
● インド医学(アーユルヴェーダ)
サンスクリット語の「アーユス(生命、寿命)」と「ヴェーダ(科学、知識)」からなる言葉で「生命の科学」を意味する。ヴァータ、カパ、ピッタの3つのドーシャ(生命エネルギー)のバランスから体質を診断し、体質に合わせた浄化法や食事法、薬草、マッサージ、瞑想などを用いる。アーユルヴェーダでは、ドーシャのバランスがとれ、食欲や排泄も正常で、至福に溢れた、完全なる健康の実現を目指す。
● イスラム医学(ユナニ医学)
中国伝統医学やアーユルヴェーダ医学とともに世界三大伝統医学のひとつ。ガレノスによって集大成されたギリシャ医学がペルシアへと引き継がれ展開した医学。ユナニとはアラブ語でイオニアを表す。ヒポクラテスらの4体液説や4元素説を継承し、食生活や睡眠といった生活習慣や生活環境が病気の原因と考え、それらの改善による病気予防を目指すとともに、自然治癒を重視して抵抗力を回復させることを治療の基本とする。地中海や中近東地域の植物生薬のほか、世界各地の生薬が用いられる。今日でもイスラムの国々に残る伝統医学である。
● ギリシャ医学・ローマ医学
古代ギリシャでは「人間の身体を構成する体液の調和が崩れることで病気になる」とする体液病理説が主流であった。近代医学の父と呼ばれたヒポクラテスは、血液、粘液、黄疸汁、黒疸汁の4体液の調和が崩れることで病苦が生まれると説いた。また、ガレノス以来の、症状とは反対のもので治すという「アロパシー」の思想が特徴的であり、この考えが西洋医学に継承された。
食事療法
● 断食療法
専門家の指導のもと、食事を断つことで、疲労状態にある胃腸や肝臓、すい臓などに、完全な安静と休養を与え、本来の自然治癒力を呼び起こす療法。
● 薬膳
医食同源の考えに基づき、漢方薬の素材や、穀物や野菜、肉や魚など通常の食材の中で異なる薬効のある食物を取り合わせ、健康増進を目的とした食事。食材をそれぞれの性質によって、体を温める食材「温」「熱」、体を冷やす食材「寒」「涼」、温めも冷やしもしない「平」の5性に分け、それらを使い分けて食養生を行う。
● 生食療法
新鮮な穀物や野菜などを、加熱処理をせずに生のまま摂取する食事法。その効能や作用機序は不明な点が多いが、熱を加えないことで、生の食材の持つ成分などが壊れずに残っており、それらを大量に摂取することができると考えられる。
● マクロビオテック
中国の陰陽思想をもとに桜沢如一が開発した、食養生を中心とした生活全般に係る独自の理論。食事は玄米菜食で、その土地その季節にあった食べ物をとる「身土不二(しんどふじ)」や、1つの物の丸ごと全体を食べる「一物全体(いちぶつぜんたい)」という考えを重んじる。
解毒療法
● サウナ
発汗による解毒療法。また、温熱による血管拡張や血流の改善による循環器系疾患への治療効果も注目されている。また、リラクセーション効果や、自律神経やホルモンバランスの回復なども期待できる。そうした治療では、乾式の遠赤外線サウナが用いられることが多い。
● 瀉血
血液を排出する治療法。中世ヨーロッパで盛んに行われた。現在では、C型慢性肝炎の補助治療として注目されている。
● コロンクレンジング
大腸洗浄、大腸療法とも言う。直腸に水または薬草や酵素などを含む水を注入し、蓄積した老廃物を洗い流す。
水療法
● 温泉療法
温泉への入浴、温泉水の飲用など温泉を利用した療法。入浴での効果は、温熱や水圧などの物理的効果と、温泉の有効成分による化学的な薬理効果や、休養によるリラクセーション効果が期待される。ドイツには「クア」(湯治場)が多く、医師の指導のもとに行われる医療保険が適用される温泉療法がある。
● アクアセラピー
抵抗、浮力、水温、水圧など水の特性を利用した水中運動療法。脚や腰などへの負担が軽く、リハビリテーションにも活用される。
温熱・冷却療法
● 温熱療法
遠赤外線・マイクロ波・高周波・超短波などを使って一時的に体温を上げ、免疫の賦活を図る療法。
● 冷却療法
零下百度以下の特殊な部屋で短時間の運動をする療法で、リウマチなどの治療に使われている。
● ホットストーンセラピー
温めた石(玄武岩など)を体の上に置いたり、滑らせるようにマッサージしたりすることで身体の深部まで温めて血行を促進し筋肉のこわばりをほぐす。この手法は米アリゾナ州のセラピストであるマリー・ネルソンがネイティブ・アメリカンの伝統療法を元に1994年に開発した。
漢方
中国伝統医学のひとつ。5〜6世紀に中国から伝来し、江戸時代以降は日本で独自の発展を遂げた。オランダ医学の蘭方に対して漢方と呼ばれた。体質や体調などに合わせて数種類の生薬(植物や動物など自然界の物質を用いた薬)を組み合わせた漢方薬が処方される。本来は生薬を煎じて服用する。生薬の煎じ液を湯液(とうえき)ともいう。現在、医療用としてはエキス剤がひろく用いられている。
手技療法
● 按摩
身体各部を揉む、押す、叩くなどの手技によって、気血や経絡に働きかけ、新陳代謝の促進、血液循環の改善などを図る。
● 膏摩
中国医学の外治法のひとつ。皮膚に膏薬をぬり、その上を按摩する治療法。膏薬による薬効と按摩による諸効果の双方が期待できる。
● タイ式マッサージ
タイ伝統医学のひとつ。2500年の歴史があり、釈迦の時代に生きたインドのシワカ・コマラパ師が創始し、仏教と共にタイに伝来したと伝えられている。足を中心とした全身のマッサージと、アクロバティックに身体をゆっくりと動かすストレッチが特徴。
● リフレクソロジー
反射療法、反射学。足や手には臓器や器官に対応する反射区が存在すると考え、不調の改善や疲労回復するために、それぞれの特定の反射区を押すなどして刺激する。こうした療法は世界各国で診られるが、現在リフレクソロジーとして知られるものは、アメリカの医師ウィリアム・フィッツジェラルドが1917年に著書「ゾーン・セラピー(区帯療法)」で発表した療法を発展させたものが多い。対応する部位は点ではなく面で捉えられ、内臓の反射区と足の特定部位との対応をまとめたフットチャート(足裏反射区図)が作られた。リフレクソロジーのフットチャートで表されている反射区は、指圧点であるツボ(経絡・経穴)とは異なる。
● クラニオセイクラル
頭蓋仙骨療法。アメリカのオステオパシー医ウイリアム・ガナー・サザーランドが20世紀初頭に開発した療法。脳脊髄液の流れの改善を目的とし、頭蓋骨と仙骨に優しく手を触れる。身体に触れずにエネルギーだけを送る場合もある。
● カイロプラクティック
カナダ出身のダニエル・デビッド・パーマが19世紀末に創始した手技療法。脊椎のゆがみを矯正することで、神経系の働きを正常な状態に戻し、本来の自然治癒力を発揮させる。アメリカをはじめ、カナダ、イギリス、オーストラリア、EU諸国など多くの国々では、カイロプラクターは国家資格となっており、有資格者のみが施術を許される。
運動療法/ボディワーク
● アレクサンダーテクニーク
オーストラリアの俳優であったフレデリック・マサイアス・アレクサンダーが、声が出ないという自らの原因不明の不調を改善した体験をもとに開発したボディワーク。自分自身を観察することで、姿勢や動き方などしみついた体のクセに気づき、立つ・座る・歩く・話すなど日常的な身体の使い方を改め、心身のバランスを取り戻す。1904年にロンドンへ移住した後、演劇仲間や音楽家を中心に広まった。
● ロルフィング
構造統合法(ストラクチャラル・インテグレーション)。アメリカの生科学者アイダ・P・ロルフが20世紀半ばに開発した療法。骨や内臓、筋肉などを包む筋膜に働きかける手技を施し、硬直をゆるめることで、歪んでしまった筋膜や靭帯、腱などの結合組織のネットワークのバランスを再調整する。
● ヨーガ
古代インドから伝わる心身を健やかに保つ修業法のひとつ。魂・心・体を統一し、宇宙と合一するために、呼吸法(プラーナヤーマ)、坐法(アーサナ)、瞑想などを取り入れる。ハタ・ヨーガ、ラージャ・ヨーガなど数々の流派がある。
● フェルデンクライス身体訓練法
ロシア出身の物理学者モーシェ・フェルデンクライスが20世紀前半にフランスで開発したボディワーク・メソッド。体の動きを通して自分がいかに硬直化、習慣化しているかに気づき、自然な自分自身を知ることで、能力を発揮できる自然な動きや状態を身につける。
● 野口整体
野口晴哉が20世紀半ばに開発した整体法。身体と心の癖を知り、手技や運動、気を送る「愉気」など、様々な手法を用いて体を整える。
● 自彊術
手技療法士であった中井房五郎によって20世紀初頭に創案された健康体操。はずみをつけて反動を利用した31の動作で構成されており、硬くなった関節をほぐし、歪んだ骨格を矯正し、血液の循環を活発にするとされる。
● 真向法
福井県の勝鬘寺に生まれた長井津が、自らが病に倒れたのをきっかけに、正しい姿勢で礼拝を行うために1933年に生み出した体操。第1〜第4体操の、4つの簡単な体操から成る。呼吸に合わせて姿勢のゆがみを調整し、身体をやわらかくして心と身体の健康を保つ。
エネルギー療法
● 導引
気功のひとつ。呼吸法と身体の動きを組み合わせて気血の流れを調整する。
● 気功
気の鍛錬(トレーニング)法の総称。気功は外気功と内気功に分類され、前者は施術者が外から患者に気を送り、患者の気と交換する。後者は患者自身が気をコントロールする。
● 太極拳
中国武術のひとつ。陰陽変化の理に則ったもので、ゆるやかに円を描く動作が主。攻撃と防御が全ての型の中に含まれた、優れた護身術でもある。陳式・楊式など、大きく5つの流派がある。体内のバランスを取り戻して健康維持、病気治療に役立てる。
● 鍼灸
中国伝統医学のひとつ。生命エネルギーである「気」の出入り口(ツボ)を鍼や灸で刺激し、気の流れを整えて症状の軽減、バランスの回復をめざす。
手かざし療法
● セラピューティックタッチ
ニューヨーク大学のドロレス・クリーガー博士が1970年代に開発した手かざし療法のひとつ。エネルギーを使うヒーリング法で、ヒーラーの能力によって、ヒーラーの身体から患者の身体にエネルギーを送る治療法。ヒーラーは自分の手を患者の身体から5〜15センチメートルほど離れたところにかざし、頭からつま先に向けて波打つように移動させる。つま先に達すると、その手をすばやく振って有害なエネルギーを取り除く。
● レイキ
霊気。日本で生まれた手当て療法のひとつ。1920年代に臼井甕男が創始した。臼井より伝授された師範のひとりによってハワイに伝わり、そこから世界中に広まった。この系統は西洋式レイキと呼ばれ、日本国内で伝授されていった系統は臼井靈氣療法・直傳霊気として区別される。
● スピリチュアルヒーリング
ヒーラー(治療師)を通して、霊的な存在である霊医よって行われる治療。ヒーラー自身のエネルギーを用いるサイキックヒーリングを指すこともある。
心霊治療
霊的なエネルギーを用いて行われる治療。浄霊治療や手かざし療法の他、スピリチュアルヒーリングやサイキックヒーリングがある。
遠隔ヒーリング
ヒーラー(治療師)が離れた場所にいるクライアントに対して、エネルギーを送りヒーリング(癒し)を行う手法。
瞑想
座るなど楽な姿勢をとり、目を閉じるなどして心を静め、自己認識を高める方法。マントラと呼ばれる呪文を繰り返し唱え、集中力を高めることもある。瞑想により、ストレスや痛みが緩和するなど、様々な効果がもたらされることが報告されている。
心理療法
● カウンセリング
クライアントが直面している様々な問題、悩みについて、傾聴や対話をすることで、治療のための手助けをする。
● 催眠療法
セラピストの誘導によって深い意識状態におもむくことで、気づきを得たり、生理状態に変化をもたらしたりする。
● イメージ療法
心と体の相関関係を利用し、イメージによって苦痛を軽減したり、治癒力を高めたりする療法。代表的ながんのイメージ療法として「サイモントン療法」がある。
芸術療法
● 音楽療法
音楽を聴く、歌う、演奏することで健康の回復をはかり、創造的に生きる喜びを分かち合うもので、病院における集団療法などでも用いられる。
● 絵画療法
テーマをもとに、あるいは自由に絵を描き、自分自身を表現する心理療法のひとつ。気分を開放しリラックスをもたらすだけでなく、自らの病気や人生について気づきがもたらされる効用もある。
● 演劇療法
場やメンバーのつながりの力に支えられて自己を表出することで、気づきや治癒力の発露を期待する。心理劇(サイコドラマ)など種々の技法がある。
● 舞踏療法
自由な動きや特定のダンスをすることで、自己を表出する療法。体の動きがもたらすバランスの回復、自分自身への気づきなど複合的な作用が期待される。
植物療法
● ハーブ療法
西洋で伝統的に使用されてきた薬草医学の体系。ハーブティー、チンキ剤、浸出油、湿布などの形で用いられ、アロマテラピーも広義のハーブ療法に含まれる。
● アロマテラピー
植物の芳香揮発成分である精油(エッセンシャルオイル)を用いる療法。芳香浴やアロマトリートメントで用いられる。精油の効果は嗅覚(鼻の嗅神経から信号として脳へ)、吸入(呼吸で肺胞に入り血流全身へ)、経皮(皮膚から毛細血管を介して全身の循環へ)の3ルートで取り入れられる。
● フラワーエッセンス
花の持つエネルギーを水に転写させたエッセンスを用いるエネルギー療法のひとつ。英国のバッチ博士が38種類の花のエッセンス(レメディ)を発見し、1930年代に体系化された。希釈したエッセンスを服用または塗布などすることで、無意識のレベルまで深い感情に働きかけ、ネガティブに傾いた感情を癒す。現在では新たな研究家によって、世界中で様々なフラワーエッセンスが作られている。
動物療法
● 動物介在療法
規定の基準を満たした動物と飼い主を、医療専門家の治療プログラムに介在させる療法。患者の身体や精神、そして社会的機能などの改善を促進し、精神科や高齢者施設で、また作業療法や理学療法などで活用される。
● 動物介在活動
一定のしつけやトレーニングをしたコンパニオンアニマルを伴ったボランティアが介在する活動。福祉施設や病院、学校などを訪れ、動物との触れ合いによる、対象者の情緒の安定やQOLの向上に加え、教育やレクリエーションの要素を併せ持つ。
バイオフィードバック
血圧や脳波など自分では調節できない生理状態を電気信号に変換。フィードバックをコンピュータ画面上などで本人が確認できるようにし、意識的にそれらをコントロールすることで、自律神経系の症状改善に役立てる療法。
リラクセーション
体と心の緊張をときほぐし、症状を和らげたり治癒力を回復させたりする。リラックスをうながすために、イメージ療法、呼吸法、自立訓練法など多くの方法が利用される。
物理療法
● 音響療法
心地好い音楽を聴くことでリラクセーションを促すものや、皮膚を通して音を伝えて内臓に働きかけるとするものがある。
● 光線療法
可視光線を照射する療法。光源には自然光を含め様々な種類があり、期待される効果も多岐にわたる。代表的なものでは、生体リズムを調整することでの睡眠障害や季節性情動障害の改善、また、深部温熱を上げて血流を改善することでの痛みや炎症を改善する治療がある。
● 色彩療法
色彩のもつ力を応用する療法。その取り入れ方は様々だが、色彩の持つ波長が、人間の微細なエネルギーレベルに働きかけ、心身のバランスを回復させると考えられる。症状に合わせて、特定の色彩の環境に患者を置く方法、布などで色を身体にあてる方法などがある。
● クリスタルセラピー
水晶などの天然石を使った治療法。それぞれのチャクラに対応する石を置き、人体のエネルギーやオーラを活性化することによって心身のバランスを整える。
近代医学
今日の西洋医学に象徴される、患部の視覚化を行う事を主要な試みとしている医学であり、科学の発達とともに、発展してきた医学。
対抗医学
近代医学が台頭する一方で、それに対抗して生まれた、近代医学とは全く異なる体系や思想をもつ医学。
● ホメオパシー
ドイツの医師ザムエル・ハーネマンが19世紀初期に開発した療法。「ホメオパシー」とは「同種療法」の意。病気の症状と似た症状を引き起こす物質を投与するが、その投与量は微量で、その製剤も希釈を繰り返した超低濃度であることが特徴的。
● オステオパシー
アメリカのアンドリュー・テイラー・スティル博士が19世紀後半に考案した療法。手技によって頭蓋骨を含む全身の微小関節を調整することで生体エネルギーの流れを調整し、症状を改善する。
● アントロポゾフィー医学
オーストリア出身の思想家ルドルフ・シュタイナーが19世紀末に提唱した思想体系であるアントロポゾフィー(人智学)を基盤として、オランダ人医師のイタ・ヴェークマンらとともに創始された。自然治癒力を高める独自の医薬品、物理療法、芸術療法(オイリュトミー、音楽療法、彫塑や絵画療法、言語療法など)が治療の柱となる。アントロポゾフィーの医薬品は、身体と精神の両方にはたらきかけ、崩れたバランスを元の健康な状態に戻していく。がん治療に用いられるヤドギリ製剤もそのひとつ。オイルを用いたリズミカルなマッサージ「アインライブング」や、ハーブ湿布、オイルバスなども取り入れられる。
● ナチュロパシー
自然療法。ナチュロパシー医(N・D)またはナチュロパス(自然療法士)は、植物療法、ホメオパシー、ボディワーク、栄養学、ライフスタイルカウンセリングなど様々な自然療法を用いて総合的な治療を行う。自己治癒力を高めることを主眼とし、一種の療法にこだわらず、様々な自然療法を組み合わせて治療する。ドイツでは、自然療法士であるハイルプラクティカは公的資格。19世紀末に、ドイツからアメリカに移住した医師のベネディクト・ルストが「ナチュロパシー」という言葉を紹介し、ニューヨークに自然医科大学を設立したことで広く知られるようになった。